理事長所信

2017年度基本方針

2017年度 理事長 米澤 輝和

「勇敢 なれ 臆さず進め すべてはとかちのために」

【はじめに】

 私が生まれた時、日本は世界が驚くような高度経済成長を経て安定経済成長期と呼ばれる時代でありました。両親や祖父母の時代と比較すれば、衣食住といった生きるために必要なモノは揃っており、これ以上のモノを手にする差し迫った必要性は無かったように記憶しています。

 しかし、経済成長と相まって裕福になる生活を実感するにつれ、人々は物質的な豊かさこそが幸せであると信じ、その先に「夢」を見ていたのではないでしょうか。人々は貪欲にモノを求め続け、日本はさらなる経済成長を遂げ、ジャパンマネーが世界を席巻しました。しかし、人々が物質的な豊かさという「夢」に酔いしれている中、崩壊の足音は静かに、そして確実に忍び寄っていました。後にバブル経済と呼ばれたこの時期は、その名のとおり泡沫の夢の如く弾け、人々は築き上げたモノと同時に信じていた「夢」という目標を見失いました。その傷跡は今もなお癒えることなく、日本を、地域を苦しめています。そして、私たちは追い求めてきた「目に見えるモノ」だけでなく、それ以上に大切な「目に見えないモノ」を失いつつあることに気づき始めています。それは古来より日本人に備わっていた「徳」であり、連綿と続く地域コミュニティを成り立たせていた「絆」です。

  平成23年の東北地方太平洋沖地震に端を発する東日本大震災、そして平成28年の熊本地震。日本を襲った未曾有の大災害における日本人の行動に、世界中が驚き称賛の声を挙げました。日本人に備わっていた「徳」と「絆」の素晴らしさに、私たち自身も改めて気づかされた瞬間でした。築き上げた「目に見えるモノ」は一瞬で消えても、私たち自身の中にある「目に見えないモノ」が一瞬で失われることはありません。そしてこの「目に見えないモノ」こそが、明るい豊かな社会の創造に真に必要なモノなのです。未来に対して責任を負う青年の集まりである私たち帯広青年会議所だからこそ、「徳」と「絆」の大切さを認識し、行動に移すべきなのです。

【「徳」と「絆」】

 日本人にアイデンティティとして備わる「徳」と「絆」。それらを具現化するのが「背中」であり、「関わり」です。

  私たちは自らの想いを伝える時、言葉を用いて語ります。しかし、言葉で伝えることは簡単なようで実は難しいことです。人が語るその言葉に説得力を感じるのは、その語り部が歩んできた道のり、つまり「背中」に共感した時ではないでしょうか。語り部に、人が納得できる「背中」があって初めて、言葉は真に力を宿し人の心を動かすのです。その「背中」は自らを律する姿勢と利他の精神から発する行動によって形成されるものです。

  しかし、一人でできることには限りがあります。同じ志を抱いてともに行動する仲間の存在が、私たちが展開する市民意識変革運動の影響力をより大きくするのです。仲間とは、固い「絆」で結ばれた人間関係であり、それは「関わり」によって形成されます。顔見知りから始まる人間関係が仲間にまで昇華する「関わり」は困難をともにする中で互いの「背中」に共感し合えた時にのみ生まれる特別な関係であって、真の友情とも呼べるものです。「徳」と「絆」を体現する姿はまさにJayceeそのものであります。

 また、Jayceeであるならば決して忘れてはならないのが「感謝」です。私たちは現在に至るまで、数え切れないほどの奇跡とも言える「関わり」の機会を得てここに存在しています。私たちを育んでくれた地域、常に支えてくれる家族、そして創立以来、絶やすことなく紡がれてきた歴史と伝統という財産を私たち現役メンバーに託してくれた先輩諸氏。過去から現在、その全ての「関わり」に対する「感謝」の気持ちこそが、「明るい豊かな社会の実現」に向けた運動の出発点となり、現在から未来に向けた「関わり」の良循環を生み出すのです。

 私たちが展開する市民意識変革運動が地域に対して説得力と影響力を持つためには、私たち自身が「徳」と「絆」をその身に備えなければなりません。そのために、青年会議所が掲げる三信条に誠実に取り組み、自らの「背中」を磨きましょう。そして、行動をともにできる仲間と出会うために「関わり」を積極的に持ちましょう。

【見えない力で輝く組織】

 帯広青年会議所に語り継がれる言葉の一つに「運営の帯広」があります。緊張感あるセレモニーや諸会議、先行する渉外。それらを具現化するための成文化された定款や諸規則、伝統として受け継がれてきた「帯広らしさ」という規範。これらの厳格さは時に大きな負担となり、ともすればそのこだわりは周囲に理解されがたい場面もあることでしょう。しかし、この運営こそが帯広青年会議所を帯広青年会議所たらしめているのです。そして、運営とは完璧であればあるほど、組織の下支えとして人の目に触れることはありません。人の目に触れるのは帯広青年会議所の活動であり、発信する運動です。しかし、運営が疎かになれば帯広青年会議所の評価は確実に下がり、発信する運動も説得力を持ちません。人の目に触れない下支えでありながら、実は組織全体の評価として常に人の目に晒されているのです。運営とは、帯広青年会議所が展開する全ての運動に説得力を持たせる力となるのです。

 「運営の帯広」という言葉は、私たちに対する何よりの誉れであり、勲章です。担いとして直接運営に携わることのないメンバーであっても、全員が運営に対する同じ志を持っているからこそ実現するのです。自信を持って、誇りを持って、メンバー全員で帯広青年会議 所を運営から輝かせましょう。

【「徳」と「絆」を備えた次世代の育成】

 時代の変化により、私たちに求められるものも変化し続けています。その一つの例が教育の変化です。私たちが生まれた時代から現在までの30余年でさえ、学習指導要領の変遷にも見て取れるように、知識重視型から思考重視型へ、そして今では教科として道徳が復活し「徳」と「絆」の価値が見直されています。他者を思いやる優しい心、協調性や社会性、そして連帯感や友情。私たちの幼少期から青年期にかけては、これらは家庭や地域コミュニティにおいて自然と育まれるものでした。しかし、少子高齢化や共働きの増加による地域コミュニティの活力低下や、仕事を求めて地縁を離れることによる核家族化等、社会構造は大きく変化し、今の子供たちが「徳」や「絆」を育む場や機会が減少し続けていることは紛れもない事実であります。しかし、その機会は、家庭や地域コミュニティ以外にもあります。その一つがスポーツです。

  スポーツはその大半が他者と競い合う要素を有しており、勝者と敗者が結果として明確になるという特徴があります。近年のある時期においては勝敗がもたらす負の側面に焦点を当てるあまり、勝敗そのものを曖昧にする風潮もありました。しかし、相手ではなく自分との戦いである克己の精神とフェアプレーやグッドルーザーの精神に基づいた「全うな勝負」は「徳」と「絆」を醸成する絶好の機会でもあり、この機会は自我の形成がなされる青少年期こそ与えるべきなのです。

 今こそ、責任世代である私たちが、未来において責任世代となる青少年に対して「全うな勝負」の機会を創出し、「徳」と「絆」を醸成することで、現在から未来に向けて地域を輝かせ続ける礎を築きましょう。

【可能性をとかちの「夢」にる芽生え】

 私たちが暮らすこの十勝には、日本の食料基地としての役割を担う基幹産業である農業や豊かな自然、風土を活かした祭りや行事といった、地域を輝かせる魅力が存在します。創立より今日に至るまで、私たち帯広青年会議所も事業を通して魅力を発信し、さらには可能性を具現化することで地域を輝かせる一翼を担ってきました。地域の活力源として青年らしく挑戦する姿が、帯広青年会議所の地位を向上させ、様々な団体との関係を築いてきました。私たちが一歩先を見据え、今ある地域の可能性を「新たな魅力」へと昇華させる挑戦が、とかちをさらに輝かせる「夢」へとつながり地域を輝かせるのです。今この十勝に芽生えつつある可能性を見出し、私たちがリーダーシップを取って挑戦し、行政や各種団体、そして地域住民を巻き込んだムーブメントを巻き起こす運動が必要です。

 大樹町で進められている航空宇宙産業基地誘致運動。昭和60年に始まったこの取り組みこそ「新たな魅力」の芽であり、未来への「夢」であります。この「夢」への理解と想いを地域と共有して未来像を描き、とかちが一体となるムーブメントを巻き起こすことで必ずや「新たな魅力」へと成長させることができるのです。新たな挑戦には大きな困難が待ち受けていることは想像に難くありません。だからこそ、その困難な一歩を私たち帯広青年会議所が踏み出すのです。

  小さな、しかし希望にあふれた芽をとかちの魅力という果実として実らせ、「夢」でとかちを輝かせましょう。

【帯広青年会議所の未来】

 創立以来、地域を輝かせる原動力の一翼を担ってきた私たち帯広青年会議所。そこに所属する会員は40歳を迎えると卒業という名の引退から逃れることはできません。これは、何もしなければ毎年確実に会員が減り続け、いつかは消滅してしまうことを意味します。つまり、私たち帯広青年会議所が未来においても地域を輝かせる原動力であり続けるには、常に仲間であり同志でもある会員を拡大しなければならないのです。 会員拡大は「究極の青年会議所運動」とも呼ばれます。

 会員拡大において、私たちは言葉を用いて帯広青年会議所の魅力を候補者に語ります。しかし、候補者が私たちの「背中」を知らないことがほとんどであり、私たちの言葉によって心を動かされて入会に至ることは大変難しいことです。これはまさに、本質的には私たちが展開する市民意識変革運動と同じであり、それこそが会員拡大は「究極の青年会議所運動」と呼ばれる所以なのです。

 会員拡大とは、未来を切り拓くための大きな挑戦です。そして、私たち帯広青年会議所はどんな挑戦に対してもその一歩を踏み出すことができるリーダーシップを持った青年の集まりです。未来のための挑戦に待ち受ける困難を乗り越えて会員拡大を成し遂げるためにも、志を一つにしてともに行動しましょう。会員拡大はとにかく結果を求められます。会員拡大は行動あるのみです。

【新しい同志へ向けて】

 右も左もわからない中、帯広青年会議所という団体へ様々な理由はあれども入会を決意した新入会員。その勇気ある挑戦をまずは称えるとともに、心から歓迎します。この帯広青年会議所という団体、そして青年会議所という世界には、他では決して得ることのできない、かけがえのない学びが無数に存在します。私たちメンバーには、それらの素晴らしい学びを、出自や学歴など一切の制約無く手にする機会と権利が与えられます。しかし、それを学びとして掴み取るか、機会と権利を活かすかどうかは全て個人に委ねられており、全ては自己責任なのです。

  新入会員にとっては、どのような学びが得られるのかさえもわからない中で、何が自分にとって必要かを判断することなど到底できない状況であるはずです。だからこそ、まずは選り好みをせず、迷わず参加することが何よりも肝心なことであります。時には理不尽に感じることや厳しいことを言われることもあるでしょう。しかし、全ては参加しないことには何も始まりません。帯広青年会議所に集うメンバーは、全員が同じ志を胸に抱き、お互いに支えあう「愛」を持った仲間です。仲間を信じて、安心して学びの機会に参加し、有意義な経験、そして成長を手に入れましょう。

【結びに】

 私たちが存在するこの世界は、毎日が奇跡の連続です。私たち一人ひとりの誕生が生命の奇跡であることはもちろん、帯広青年会議所に所属する機会を得たことも、志を同じくする仲間と出会えたことも、全てが奇跡なのです。地域の総合的な発展への課題に立ち向かうべく、帯広青年会議所に集ったメンバーが私たちであることは、現在から未来へと続く時間軸において間違いなく意味のあることであり、その課題を克服できるからこそ、同じ瞬間、同じ場所に集ったのです。

  青年会議所は単年度制を採用しており、組織も個人の担いも毎年変わりますが、そこには「不連続の連続」という言葉のとおり、過去から現在を経て未来へと紡がれる帯広青年会議所の歴史があります。私たちは過去への「感謝」を忘れることなく、現在の責任世代として負うべき使命と責任を認識して、現在から未来へとつながる道を切り拓いていくのです。

  いくつもの奇跡の重なりによって集った私たちが、志を同じくして未来へと道を切り拓こうとする中で、時として互いの信念に基づく意見の相違から激しい議論を交わすこともあるでしょう。しかしそれは、決して互いを打ち負かす勝負ではなく、相手と向き合い「関わり」を持とうとすることによるものであり、互いの違いを乗り越え合意形成を図るために必要不可欠な過程です。真剣にお互いを理解し合う姿勢は「徳」が身に備わっているからこそ可能となるのです。そして、未来へと続く一筋の道が議論の末に合意形成され、志として示された時、私たちは心を一つにして志を果たすべく行動するのであり、その道の途中にある様々な困難を乗り越えることで「絆」が生まれるのです。この「徳」と「絆」こそが、かつて明治維新や敗戦後の驚異的な経済成長、そして災害時の極限状況で見られた、日本の底力なのです。

  私たちも、その「徳」と「絆」によって互いを高め合い、一人ひとりが持てる力を発揮し、身も心も一つに力強く歩んでいきましょう。

 

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